2015-08-30(Sun)
出張報告 『人口減少時代のまちづくりと地域公共交通の再構築』
ちょっと時間がたってしまいましたが、
『人口減少時代のまちづくりと地域公共交通の再構築』と題した
日本都市センター主催のセミナーに参加してきました。
(8月6日)
人口減少や、事業者の経営悪化により、
地域公共交通ネットワークが縮小しています。
今後は、まちづくりと一体となった公共交通網の再編が
必要となる中、国土交通省による各種施策も整備され、
地方自治体が中心的な役割を果たすことが
期待されています。
セミナーでは、先進地域の取り組みの紹介がなされました。
1.基調講演 『人口減少時代のまちづくりと地域公共交通』
森本章倫 氏(早稲田大学創造理工学部社会環境工学科教授)
・今後の人口減少の進展は、地区ごとに明暗が分かれる。
また中心部のシャッター街から今後は郊外の空き家街も問題になってくる。
・交通と土地利用の関係を歴史的にみると、交通手段が都市構造を変えてきた。
今後、多様な交通政策と街づくりの連携によって、
魅力的なまちを創っていくことが重要。
国内でも海外でも、様々な事例が出てきているので参考になる。
宇都宮市では自転車専用レーンの導入、自転車の駅の創設で
自転車の街へと変貌しつつある。
2.事例報告(1) 『コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築
森雅志 氏(富山市長)
・富山市では、まちづくりの基本方針(コンパクトなまちづくり)を実現するため、
①公共交通の活性化(積極的に公費を投入する)、
②公共交通沿線地区への居住推進(補助金で誘導する)、
③中心市街地の活性化(積極的投資)を行っている。
・例えばJR富山港線に公設民営型のLTRシステムを導入、
200円均一(高齢者100円)料金としたことで利用者は2倍強増え、
健康寿命の伸長にも繋がる。
また、中心市街地活性化のため、市内電車は環状線化して
1日中でも乗れるようにし、さらにこの周辺に公共施設を整備した。
・交通の利便性が向上することで利用者が増加すれば、
事業者の収益は改善し、高齢者や若者のライフスタイルが変化
(中心街への外出機会の拡大)するとともに
中心市街地が活性化し地域経済の活性化にも繋がる。
これにより郷土愛(シビックプライド)が醸成され、
選ばれる街、持続性の高い都市に、という
プラスのスパイラルが発生している。
・他にも、「おでかけ定期券事業」(高齢者の約23%が所有)、
「花Tramモデル事業」(花束を購入すると無料乗車券を進呈)、
「高齢者が孫と一緒に来園すると施設入園料無料」など
様々なアイディアで魅力的な街づくりにまい進している。
その結果、中心市街地では9年連続で人口が転入超となり、
地価が上昇する等の効果が出てきている。
2.事例報告(2) 『富士宮市の市営公共交通』
芦澤栄治 氏(富士宮市副市長)
・富士宮市では、民間路線バスの相次ぐ減便で利用者が減少し、
補助金が増大する状況にあったが、
少ない負担で多くの住民の生活交通を確保するというコンセプトで
“宮バス”(市街地循環バス)が導入された結果、
利用者の増加やバス停オーナー協力金等により
市の負担額が一時0まで改善した。
(その後路線を増やしているため市の負担も増加)
・さらに、民間路線バス退出地域の交通空白地域の解消を目的に、
デマンド型乗合タクシー“宮タク”を導入した。
路線バス時に比べ運行回数が増え、エリア内ではフリー乗降ができることで
利用者数が増加(18→24人/日)、
市の負担額も減少(300万円の補助金→200万円の委託料)した。
・交通会議では、公共交通PDCAによる事業評価を行っている。
3.パネルディスカッション(1)
『地域公共交通を支えるための関係主体の役割とその背景』
板谷和也 氏(流通経済大学経済学部准教授)
・地域公共交通は利用が減少し事業者の経営破たん・撤退が
相次いでいる。営利事業ではなくなったので、
自治体が積極的に関与しないと維持することができない。
以前は地域独占の免許制であったため、事業者は
黒字路線の利益で赤字路線を維持してきたが、
規制緩和により黒字路線のみへの参入が認められるようになったため、
赤字路線を維持するために補助金に頼らざるを得なくなった。
・魅力的な交通、魅力的な市町村を作るためには、
事業者と連携して施策を進めることの出来る力量と熱意のある
自治体職員と、首長の理解が不可欠である。
3.パネルディスカッション(2)
『地域公共交通について(バス事業と広域連携)』
木村俊介 氏(一橋大学大学院法学研究科教授)
・希薄化した地域社会の中で、必要なことは、
①幹線的路線バスの設定(医療機関や商業施設、教育施設等をつなぐ)、
②3つの財源をうまく使うこと(公費補助、料金収入、地域の支援金)
③コミュニティの活性化
④自治体の広域連携。
・特に、定住自立権構想において、取り組まれている行政分野として、
地域公共交通は医療についで高い比率となっている。
【お知らせ】
9月議会が9月1日から始まります。
私の行政一般質問は、9月4日(金)11時からとなりました。
①消防団の機能強化について
②地域公共交通網の整備について
を取り上げます。
この準備のため、7月以降、精力的に調査にあたっています。
是非、たくさんの皆さまの傍聴をお願い致します。
【ご参考】
館山市議会
館山市議会議員会派別HP

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『人口減少時代のまちづくりと地域公共交通の再構築』と題した
日本都市センター主催のセミナーに参加してきました。
(8月6日)
人口減少や、事業者の経営悪化により、
地域公共交通ネットワークが縮小しています。
今後は、まちづくりと一体となった公共交通網の再編が
必要となる中、国土交通省による各種施策も整備され、
地方自治体が中心的な役割を果たすことが
期待されています。
セミナーでは、先進地域の取り組みの紹介がなされました。
1.基調講演 『人口減少時代のまちづくりと地域公共交通』
森本章倫 氏(早稲田大学創造理工学部社会環境工学科教授)
・今後の人口減少の進展は、地区ごとに明暗が分かれる。
また中心部のシャッター街から今後は郊外の空き家街も問題になってくる。
・交通と土地利用の関係を歴史的にみると、交通手段が都市構造を変えてきた。
今後、多様な交通政策と街づくりの連携によって、
魅力的なまちを創っていくことが重要。
国内でも海外でも、様々な事例が出てきているので参考になる。
宇都宮市では自転車専用レーンの導入、自転車の駅の創設で
自転車の街へと変貌しつつある。
2.事例報告(1) 『コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築
森雅志 氏(富山市長)
・富山市では、まちづくりの基本方針(コンパクトなまちづくり)を実現するため、
①公共交通の活性化(積極的に公費を投入する)、
②公共交通沿線地区への居住推進(補助金で誘導する)、
③中心市街地の活性化(積極的投資)を行っている。
・例えばJR富山港線に公設民営型のLTRシステムを導入、
200円均一(高齢者100円)料金としたことで利用者は2倍強増え、
健康寿命の伸長にも繋がる。
また、中心市街地活性化のため、市内電車は環状線化して
1日中でも乗れるようにし、さらにこの周辺に公共施設を整備した。
・交通の利便性が向上することで利用者が増加すれば、
事業者の収益は改善し、高齢者や若者のライフスタイルが変化
(中心街への外出機会の拡大)するとともに
中心市街地が活性化し地域経済の活性化にも繋がる。
これにより郷土愛(シビックプライド)が醸成され、
選ばれる街、持続性の高い都市に、という
プラスのスパイラルが発生している。
・他にも、「おでかけ定期券事業」(高齢者の約23%が所有)、
「花Tramモデル事業」(花束を購入すると無料乗車券を進呈)、
「高齢者が孫と一緒に来園すると施設入園料無料」など
様々なアイディアで魅力的な街づくりにまい進している。
その結果、中心市街地では9年連続で人口が転入超となり、
地価が上昇する等の効果が出てきている。
2.事例報告(2) 『富士宮市の市営公共交通』
芦澤栄治 氏(富士宮市副市長)
・富士宮市では、民間路線バスの相次ぐ減便で利用者が減少し、
補助金が増大する状況にあったが、
少ない負担で多くの住民の生活交通を確保するというコンセプトで
“宮バス”(市街地循環バス)が導入された結果、
利用者の増加やバス停オーナー協力金等により
市の負担額が一時0まで改善した。
(その後路線を増やしているため市の負担も増加)
・さらに、民間路線バス退出地域の交通空白地域の解消を目的に、
デマンド型乗合タクシー“宮タク”を導入した。
路線バス時に比べ運行回数が増え、エリア内ではフリー乗降ができることで
利用者数が増加(18→24人/日)、
市の負担額も減少(300万円の補助金→200万円の委託料)した。
・交通会議では、公共交通PDCAによる事業評価を行っている。
3.パネルディスカッション(1)
『地域公共交通を支えるための関係主体の役割とその背景』
板谷和也 氏(流通経済大学経済学部准教授)
・地域公共交通は利用が減少し事業者の経営破たん・撤退が
相次いでいる。営利事業ではなくなったので、
自治体が積極的に関与しないと維持することができない。
以前は地域独占の免許制であったため、事業者は
黒字路線の利益で赤字路線を維持してきたが、
規制緩和により黒字路線のみへの参入が認められるようになったため、
赤字路線を維持するために補助金に頼らざるを得なくなった。
・魅力的な交通、魅力的な市町村を作るためには、
事業者と連携して施策を進めることの出来る力量と熱意のある
自治体職員と、首長の理解が不可欠である。
3.パネルディスカッション(2)
『地域公共交通について(バス事業と広域連携)』
木村俊介 氏(一橋大学大学院法学研究科教授)
・希薄化した地域社会の中で、必要なことは、
①幹線的路線バスの設定(医療機関や商業施設、教育施設等をつなぐ)、
②3つの財源をうまく使うこと(公費補助、料金収入、地域の支援金)
③コミュニティの活性化
④自治体の広域連携。
・特に、定住自立権構想において、取り組まれている行政分野として、
地域公共交通は医療についで高い比率となっている。
【お知らせ】
9月議会が9月1日から始まります。
私の行政一般質問は、9月4日(金)11時からとなりました。
①消防団の機能強化について
②地域公共交通網の整備について
を取り上げます。
この準備のため、7月以降、精力的に調査にあたっています。
是非、たくさんの皆さまの傍聴をお願い致します。
【ご参考】
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