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2012-04-08(Sun)

館山市長を相手取り住民訴訟を提訴しました

4月7日の朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、千葉日報に
掲載されましたが、4月6日に館山市長を相手取り、
坂田の残土処分場に関わる市有地(水路)払下げにつき
住民訴訟が提訴されました。
原告は、波左間漁協組合役員、波左間区民代表、坂田や西岬住民
計16名です。

以下、訴状本文全文を掲載いたします。
(pdfはこちら



            訴    状

                      平成24年4月6日
千葉地方裁判所 御中 
                原 告  佐 野 正 一  印
               (他15名 原告目録記載のとおり)     

当事者の表示
(原告)別紙原告目録記載のとおり
(被告)
〒294-0045
千葉県館山市北条1145―1 
館山市 代表者館山市長 金丸 謙一
〒294-0045
千葉県館山市北条1145-1
館山市長 金丸謙一

法定外公共物(水路)の用途廃止無効確認及び払下取消請求事件(住民訴訟)

訴訟物の価額 金160万円
貼用印紙額  金1万3000円

第1 請求の趣旨

1(一)主位的請求
 被告館山市が、平成23年12月22日、別紙物件目録記載の土地の水路地について行った用途廃止決定処分は無効であることを確認する。
(二)予備的請求
 被告館山市が、平成23年12月22日、別紙物件部目録記載の土地の水路地について行った用途廃止決定処分を取り消す。

2(一)主位的請求
 被告館山市長金丸謙一が、平成24年1月5日、別紙物件目録記載の土地について行った株式会社服部回漕店への売り渡しは、無効であることを確認する。
(二)予備的請求
 被告館山市長金丸謙一が、平成24年1月5日、別紙物件目録記載の土地について行った株式会社服部回漕店への売り渡しは、取り消す。

3 被告館山市長金丸謙一が、平成24年1月5日、別紙物件目録記載の土地について行った株式会社服部回漕店への売り渡しは、違法であることを確認する。

4 訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決を求める。
 

第2 請求の原因

1 原告らは、被告館山市長金丸謙一が平成23年12月22日に行った別紙物件目録記載の土地の水路地について用途廃止決定処分を行ったことは違法であり、同決定処分が無効であることの確認あるいは同決定処分の取り消しを求めるものである。
 また、原告らは、地方自治法第242条第1項による住民監査請求をした(甲第1~3号証)が、平成24年3月9日付の同条第4項の監査委員の監査結果(甲第1~3号証)を3月9日に受け取ったが、監査結果に不服があるので、地方自治法第242条の2第1項2号及び3号により訴えをもって、その無効あるいは取消を求める。

2 当事者
(1)原告らは、住民監査請求人であった館山市の住民である。
(2)被告らは、館山市及び館山市長の金丸謙一である。

3 違法な行為又は怠る事実及び損害について
(1)別紙物件目録記載の土地の売却の違法性
ア 地方自治法等の違法
 国は、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」により、現に機能している法定外公共物である水路を各市町村に無償譲与した。被告館山市は、同法により、平成15年に別紙物件目録記載の土地を含む法定外公共物の譲与を受けた。
 被告館山市は、館山市坂田字東谷の水路の上流部を平成23年9月6日に分筆し別紙物件目録記載の土地となしたが、これは、株式会社服部回漕店が、被告館山市に公共用財産用途廃止申請書(館山市坂田字東谷1230番地先 面積1662.15平方メートル)を8月2日に提出していたからで、これに応えるためであった(甲第14号証)。
 被告らは、千葉県の残土埋立許可が出た直後に別紙物件目録記載の土地を普通財産に所管換えをして(平成23年12月22日付 甲第16号証)、平成24年1月5日に株式会社服部回漕店に売却をした(甲第17号証)。
 被告館山市長金丸謙一は、国から譲与された河川(法定外公共物)のうち、上流部である別紙物件目録記載の土地を普通財産としたが、所管替えをなした理由について合理的説明はなかった。
 また、平成23年12月22日に服部回漕店が館山市に提出した普通財産払下申請書(甲第50号証)には、利害関係者の同意の有無の欄に、「無」と記載されているから、同意書は存在しないことになる。隣接地権者の同意書が無いならば、用途廃止も、随意契約による売却も、手続に重大な瑕疵があったことになり違法である。
別紙物件目録記載の土地を分筆し行政財産の用途を廃止し普通財産とした所管換えの目的は、禁止されている行政財産の売り払いの規制(地方自治法238条の4)を回避し、同地を残土埋立用地として売却するためである。
 別紙物件目録記載の土地の用途廃止とその直後の売却は、一体であり一連の行為は違法な行政処分である。
特定営利私企業の便宜供与のために現に公用又は公共の用に供している行政財産を売却する行為は、「住民の福祉の増進を図ることを基本」とする地方自治法第1条の2に違反する。
 これが許されるならば、普通地方公共団体は行政財産でも市長らの裁量で売却が可能となり、地方自治法第238条の4の行政財産の売り払い禁止の規定が、意義を失うことになりかねない。
 被告らの用途廃止及び売却は、営利私企業の便宜を公用又は公共用の公益に優先させる行為であり、すべて公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないと定めた日本国憲法第15条の2項に反し、その決定は裁量権の濫用ないしは越権行為であり、違法かつ無効である。
 別紙物件目録記載の土地は、下流部と一体の河川として、現に公用又は公共の用に供している行政財産であり、被告館山市長金丸謙一のなした用途廃止は、合理的理由がなく、地方財政法第8条にも違反する。
 昭和55年6月23日広島高裁判決によれば、「公有財産が行政財産と普通財産のいずれに分類されるかは専らその用途によって決せられ、普通地方公共団体が内部処理として如何なる分類をしているかは関係ないものと解すべきである」としている。被告館山市長金丸謙一が内部処理として別紙物件目録記載の土地を普通財産に所管換えをしたとはいえ、公共用水路である用途は変わらず、行政財産であることに変わりはない。
 別紙物件目録記載の土地の株式会社服部回漕店への売却は、上述の違法かつ無効な用途廃止を前提に、その直後に行われた売却であり、地方自治法第238条の4第1項に違背する行政財産の売却にあたる。本件売却は、違法な行政処分で地方自治法第238条の4第6項により、無効である。

イ 漁業権侵害等の違法行為
 一部原告らの所属する波左間漁業協同組合(以下「波左間漁協」という)は、別紙物件目録記載の土地から流れ出る海域に共同漁業権を有する団体であり、別紙物件目録記載の土地が埋立てられることによる海域への影響を懸念し、被告らに対し本件用途廃止の利害関係者として波左間漁協の同意を得るよう要望した。 
 これに対し被告らは、「利害関係者の同意書については、用途廃止する区間の隣接地権者及び水路利用者などの同意となります」と回答(甲第22、24号証)するだけで、水路利用者としての波左間漁協に対して何ら具体的な説明もせず同意を得ることもしなかった。被告らの別紙物件目録記載の土地の用途廃止及び払下げは、波左間漁協の共同漁業権を侵害する違法行為であり、被告らは民法709条の不法行為責任を負う。
 別紙物件目録記載の土地及びその下流部分も含めた通称坂田川に関し、被告らはその排水機能しか認識していない。そもそも被告らは、河川と海の関係についての理解及び水質浄化に関する認識を大きく欠いている。例えば夏季海水浴場の水質保全のためと称して、毎年、大腸菌検査の前に汐入川や巴川に大量の薬剤を散布している(甲第46号証)。このような認識では海や川を適切に管理することができず、海は年々汚れが目立ち、結果多様な魚介類の減少やウミホタルの激減などの現象が現れてきている。
 別紙物件目録記載の土地も、単なる排水機能だけでなく、重要な滋養供給機能を有している(甲第45号証)。しかし、被告らはそうした認識も欠いていたため、原告らの要望にもかかわらず別紙物件目録記載の土地の滋養供給機能に関して自ら調査することを拒否した(甲第23、24、27号証)。
 被告らが、自然環境保全の財産価値を保全する努力を怠り、用途廃止したことは環境基本法第7条の地方公共団体の責務及び自然環境保全法第2条の国等の責務に反する違法な行為である。

(2)怠る事実
 別紙物件目録記載の土地の売却は、地方自治法242条の2第1項3号の「当該怠る事実」にあたる。
 被告らは、排水機能に関して、「調整池等を新設することにより、公共物(水路)として引き続き存置する必要がないと認められるため」としているが、近年の年間最大雨量の算定や、更には想定外の事態まで想定した上で被告らが十分に安全性を確認した形跡はみられない。そればかりか、市有地にもかかわらず、被告らはその安全性確認を県に依存し切っている。 
 これは、公共物の管理を怠る事実であり、違法である。
 別紙物件目録記載の土地は、現に公共の用に供せられているにもかかわらず、用途廃止されたとして売り払う行為は、行政財産の管理を放棄する行為で、被告らによる公有財産の管理を違法に怠る事実である。

(3)損害について
ア 館山市の財務会計上の損害について
 別紙物件目録記載の土地は、被告館山市の行政財産であるので売却は無効であり、別紙物件目録記載の土地の地権者は被告館山市である。
 株式会社服部回漕店は、被告館山市の所有する別紙物件目録記載の土地の土地を残土により埋立てる計画をしている。
 千葉県残土条例は、土地所有者には、毎月1回以上、現地を訪問して、計画と違うことはないか、土壌汚染や土砂崩落など起きていないか、そのおそれはないかなどを確認することが求められる。汚染された土砂が搬入されたり、土砂の崩落などに対しては、土地所有者にも県は措置命令をする対象となる(甲第6号証 県残土条例パンフレット)。
 被告館山市は土地所有者として、県残土条例により毎月の現地訪問による確認とともに汚染された土砂の撤去や災害の防止措置について措置命令の対象となる。被告館山市は土地所有者として無効な売却により、株式会社服部回漕店による残土埋立てがされることにより多大な財務会計上の損害が生じる。

イ 漁業及び観光産業に関わる損害
 別紙物件目録記載の土地からの水が流れ込む海域は、波左間漁協が共同漁業権を有しており、千葉県や被告館山市の補助事業として、長年にわたりあわびやサザエ、マダイ等の稚魚・稚貝を放流し資源保護事業を行ってきた(甲第48号証)。これは、別紙物件目録記載の土地などから運ばれる豊富な栄養塩によって育つものであり、その上流が埋立てられることで水質が変われば貴重な水産資源が絶滅する恐れがある。それ以外にも、ひじきやわかめ等の豊富な海域であり、土砂等の埋立てにより河川の水質汚濁及び海洋汚染が生じた場合には、組合員ひいては波左間住民にとって死活問題に繋がり、被告館山市にとっても水産業の漁獲高減少による税収減、雇用減少の損害が発生する。さらに、昨年3月の東日本大震災の時と同様、風評被害による漁価低迷も懸念されるところである。
 本件事業の計画地及び土砂搬入路は、館山市内でも最も海が美しく海水浴場が連なる西岬地区である。土砂搬入路は、西岬地区住民にとって唯一の生活道路であり、かつ観光道である「フラワーライン」である。後述の計算では、この道路を土砂満載のダンプカーが1日延べ176台、往復では1分半に1台通行することになるが、これではダンプカーがこの道路を占有しているような状態であり、観光地としてのイメージ低下及び交通渋滞等、観光事業がダメージを受けることは、「観光立市」を謳う被告らにとって、致命的な損害を蒙ることになる。
 被告館山市長金丸謙一は、住民に対して「残土も産業」と発言しているが、観光や漁業に対する影響を全く考慮しない無責任な発言である。被告らによる共同漁業権の侵害行為及び観光産業への侵害行為は、被告館山市に多大な損賠賠償責任を生じさせるものである。

ウ ダンプカー通行による人身障害及び道路補修に関わる損害
 上述の土砂搬入路は、通学路にも指定されているものの、歩道が未整備で信号もほとんどなく、歩行者や自転車通行者にとって非常に危険な箇所の多い道路である。日曜を除く毎日、8時から17時まで数分毎にダンプカーが通行する状態は常識を超えており、緊急車両の通行もままならない上、交通事故、喘息等の健康被害が増加することにより医療費等の財政支出が想定される。また、既存の残土処分場における搬入路でも散見されるが、ダンプカー通行による轍等の道路損傷が生じれば、道路補修の費用も県や市の財政負担となる。

4 本件に係る事実経緯と現状

(1)事業概要と許認可申請手続きの流れ
 平成23年6月20日、服部回漕店は、館山市坂田(ばんだ)字東谷1233番1他76筆の土地(以下「計画地」という)において、残土埋立て及び農園造成を目的として千葉県に林地開発及び特定事業(以下「本件事業」という)許可(以下「本件許可」という)の申請を行った。本件事業は、残土埋立て及び農園造成を目的とし、京浜地域からの建設残土約104万立方米を3年にわたり埋立てる開発計画である(甲第8・9号証)。
 計画地のほぼ中央には別紙物件目録記載の土地が存在し、申請当時、被告館山市は千葉県の土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例(以下「残土条例」という)に基づく土地所有者としての立場にあった。
 本件許可申請には、予め計画地内の土地所有者の同意が必要であるため、服部回漕店は8月2日、別紙物件目録記載の土地に関し「法定外公共物用途廃止申請書」を提出した(甲第14号証)。なお、別紙物件目録記載の土地の隣地土地所有者は申請者である服部回漕店の他に1名いるが、住民が行った情報公開請求に対し、被告館山市は申請者以外の同意書の存否を非開示と決定した。
 この用途廃止申請を受け、被告館山市は9月8日、別紙物件目録記載の土地を雑種地として新たに館山市坂田字東谷1230番の2という地番をつけた登記嘱託書を提出、所有権保存登記がなされた。
 その後、12月20日に千葉県により本件許可が下された直後、被告館山市長金丸謙一は12月22日に別紙物件目録記載の土地の用途廃止を決定し、被告館山市長金丸謙一は平成24年1月5日、服部回漕店との土地売買契約(以下「本件売買契約」という)を締結した(甲第17号証)。同日、服部回漕店は別紙物件目録記載の土地に関する所有権移転登記を行った。

(2)本件事業計画地の立地状況
 計画地は、館山市の西岬地区にある房大山の谷あいを埋立てるものである。計画地の住所は坂田であるが、房大山は隣接地波左間(はさま)や反対側の伊戸(いと)の地所もあり、その地下水脈は坂田のみならず両地域にも通じている。また、服部回漕店の土砂仮置場から計画地への搬入路は、西岬地区(坂田含め15区から成る)住民にとって唯一の生活道路である(甲第5号証 地図)。

(3)住民説明会に答えぬ被告ら
 本件残土埋立事業について、平成23年9月の館山市議会で取り上げられたことを契機に、館山市民の知ることとなったが、住民への説明不足、情報不足により住民の間に不安が広まった。
 このため、波左間漁協、西岬連合区長会、館山の海と山の自然を守る会(以下「自然を守る会」という)、館山・西岬子供を守る会(以下「子供を守る会」という)などから質問や要望が相次いで提出されたが、以下のような被告らの責任逃れの対応・判断により、市民は生活不安を解消するどころか不信感を募らせる結果となった。

ア 総計70人弱にしか行われなかった住民説明会について
 住民説明会は、平成23年3月25日に事業地のある坂田地区(平成23年4月1日現在登録人口197人)で40名出席の説明会が行われただけで許可が下りようとしていたところ、西岬地区(同2,929人)の15代表区長で構成される「西岬地区連合区長会」(以下「区長会」という)は、本件許可権者である千葉県知事に対し、①本件事業について西岬地区全体へきちんとした説明会を開催すること、②西岬住民が合意できなければ、当該事業を許可しないこと、を要望する陳情書を10月4日に提出した(甲第30号証)。
 ところで、「住民説明会の範囲」について、県の残土条例に基づく指導指針によると、事業者は地域住民に対する説明会を行う範囲、方法について市長と協議をすることになっているが、被告らは「事業者からの協議はありませんでした」と平然と回答している(甲第19号証)。 
 これに対し千葉県は、「市は事業者より説明会開催の報告を受けて地域住民に対する説明の範囲を確認しており」と回答(甲第32号証)、見解が食い違っている。
 一方、本件許可申請に関する県からの照会に対し、被告らは「西岬地区全体及び搬入車両の通行する地区(以下「拡大西岬地区」という。登録人口合計約5,000人)を対象とした事業説明会」を、事業主の主催により事業着手前に実施させることを強く要望している(甲第10、11号証)。さらに、拡大西岬地区への説明会実施につき、県や事業者へ繰り返し要望・要請している(甲第19、20、21号証)ことからしても、被告らは本件許可にあたり必要な住民説明会の対象範囲を「拡大西岬地区」と考えていたことは明白である。説明会の範囲については、被告らが決める立場にあるにもかかわらず、被告らはその後の市民の質問に対して、住民説明会の範囲の指定は県でなければ判断・指定できないと無責任な回答をしている(甲第28号証)。
 これに対し、波左間漁協、区長会役員会、自然を守る会、子供を守る会は連名で服部回漕店に拡大西岬地区での説明会開催要請書を提出すると同時に、被告らにもこれを支援協力するよう要請した(甲第43号証)。服部回漕店は、一方的に場所を設定し参加者を各区2~3名に限定した説明会を開催(出席者28名)、これで説明会は終了とすると言い放った。区長会は、「住民がこの事業の内容をよく知らされないままに事が展開されていくのは、この事業の重大性から見てどうしても納得しがたい」と、西岬地区全体の住民説明会を再度、服部回漕店と被告らに要望したが拒否され続けた。その後、服部回漕店は被告らに対し「各区の区長からの、当事業内容についての質問や要望等に対しては、残土搬入前までに、西岬地区連合区長会様と相談の上、個別に回答及び説明会等で対応いたします」とし、それを基に平成24年1月5日、被告らは別紙物件目録記載の土地の払下げを行ったが、その後、区長会から複数の区が個別の説明会を服部回漕店及び被告らに対して要望したにもかかわらず、服部回漕店は再度これを拒否し(甲第44号証)、現在に至っている。
 一方、被告らは別紙物件目録記載の土地の払下げについて、「地元の説明会の状況や本件許可を確認した上で、判断していきたいと考えております」と回答していたため(甲第23、24号証)、県が本件許可を下ろした後、住民団体(坂田青年団、波左間区、NPO法人たてやま・海辺の鑑定団、館山市消防団第6分団第14部団員一同、子供を守る会、自然を守る会、南房総・館山の幸せな未来を考える若者の会、及び波左間漁協)が被告らに対し、拡大西岬地区での住民説明会が開催され住民に納得のできる対策が確認されるまで別紙物件目録記載の土地の払下げ判断を待つよう要請あるいは利害関係者としての異議申立てをした(甲第29号証)。しかしながら被告らがそれまで判断材料としていた説明会が開催されないままであるにもかかわらず、1月5日に別紙物件目録記載の土地の払下げを判断したことは、住民に対する裏切り行為である。再三の市民との約束を考えれば、拡大西岬地区での住民説明会を開催させ、その後に払下げの判断をするのが筋であり、「熟慮に熟慮を重ねた結果」(甲第18号証)など逃げ口上以外の何ものでもない。
 なお、被告らの無責任な対応については、被告らが県に要望していた説明会の対象住民約5,000人に対し、服部回漕店が開催した説明会に参加できたのは合計で70人にも満たず、住民や各団体が繰り返し説明会を求めていたにもかかわらず、被告らは区長会と服部回漕店との協議に任せこれを傍観し、住民からの具体的な質問に対しても県に責任を押付け「総論として回答」と他人事のような態度に終始したことにも現れている(甲第25号証)。さらに、住民に十分な説明がなされない場合には別紙物件目録記載の土地を使用させてはならないのではないかとの住民からの質問に対し、住民説明会の開催の有無は別紙物件目録記載の土地に関する判断材料とは別のものと考える旨の、それまでとは異なる回答を平然となしている(甲第28号証)。

イ 土地所有者としての同意の有無について
 被告館山市は、別紙物件目録記載の土地に関し、本件許可申請にあたって予め同意(以下「本件同意」という)を得ることが必要な土地所有者であった。県は、残土条例を改正し、土地所有者への責務を強化すると同時に、土地所有者に対する措置命令ができることとなったため、「埋立て等の事業計画を十分確認した上でなければ同意してはなりません」と呼びかけているほどである(甲第6号証)。
 このため、住民らが被告らに対し本件同意の有無について確認したところ、当初、被告らは「法定外公共物の所有者については、残土条例第10条の2の対象ではありません」と回答し(甲第19号証)、本件同意が必要との認識すらなかったことが分る。
 本件同意について、住民らの再三にわたる質問に対し県は、「館山市の取扱いの意思を文書により確認しています」と回答しているが(甲第37号証)、その書面の内容は、「千葉県による林地開発及び特定事業の許可がなされたあと、払下げを行う予定です」となっている(甲第12、13号証)。従い、県は、この被告らの回答を本件同意と判断し許可を下ろしたわけであるが、被告らは、払下げは県の本件許可を確認した上で判断していきたいとし、あくまで自らの意思が県の許可前になかったかのような説明をしているがこれは欺瞞である(甲第23、24号証)。
 ちなみに、県が特定事業の許可を下ろした後に市が市有地の払下げを拒否し、これに対して事業者が市を訴えたが敗訴した富津市の平成23年8月25日高裁判決の事例もある。市の財産である別紙物件目録記載の土地について、住民の不安を解消するまで判断を保留することなく、一事業者の利益のために簡単に払下げを行った被告らの判断は「熟慮に熟慮を重ねた」(甲第18号証)とは到底言いがたい。

ウ 自然環境・生活環境への影響
 被告らが千葉県知事に提出した平成23年7月25日付け“林地開発行為に関する意見書”(甲第10号証)では、「本事業の実施に伴い・雨水排水の公共水域の影響・地下水への影響・搬入車輌の通行の影響などについて当該事業区域のみならず広範囲に影響を及ぼすことが想定されるため、・・・」としている。
 にもかかわらず、被告らは以下のように、雨水排水の公共水域の影響・地下水への影響などについて調査、確認もせず、公有財産の管理を違法に怠っている。
 別紙物件目録記載の土地の払下げに関して、原告らが最も懸念しているのは、上流を埋立てることによる川の水質変化と海への影響である。
 館山市の西側の洲崎までに到る海は鏡ケ浦と呼ばれ、首都圏有数の美しい海岸線である。また漁業が盛んな地域でもある。最近では開発による汚れが目立ち、海水浴場は本件事業計画地のある西岬地区が中心になっている。とくに西岬の海には豊富なアマモが存在し幼稚魚の格好の保育場となることから「東京湾の竜宮城」とも称されている。
 また北限域のサンゴが生息しており、波左間・坂田は環境省から日本の重要湿地500にも選定されている。こうした海は、観光立市を掲げる館山市にとって貴重な財産であるが、「森は海の恋人」という言葉も示すように、海へ重要な影響を及ぼす森とそこを流れる川を保全することは、最優先の課題である。
 「監査結果報告書」(甲第1~3号証)によると、別紙物件目録記載の土地はその下流部分も含め、平成15年に国から被告館山市へ譲与されたものであり、水路としての機能を有していると判断され使用されてきた法定外公共物(行政財産)である。現在でもカワニナやサワガニが生息するきれいな清水が流れる小川であり、専門家の指摘によると、房大山の谷間の腐葉土に蓄えられた鉄分(フルボ酸鉄)はじめ豊富な栄養塩がこの川を通じて海に注がれ、東京湾口最大のアマモ場を有する豊穣の海の形成に貢献している(以下川の「滋養供給機能」と呼ぶ)(甲第45証)。
 原告らが、別紙物件目録記載の土地のもつこうした滋養供給機能について、さらに本件事業が及ぼす河川や海への自然環境面への影響について被告らに何度も確認し調査を依頼したが、被告らは「県の残土条例及び林地開発許可審査基準を遵守し許可されることにおいて、確認できる」と回答し、県にその責任を転嫁している(甲第20号証)。しかし県の回答によると①残土条例は土砂の汚染及び災害の発生を未然に防止することを目的に必要な規制を行うものであること(甲第33号証)、②土砂等に含まれる物質による水質への影響については、林地開発許可の審査の対象ではない(甲第38号証)と述べており、県は本件許可において、自然環境面への影響を審査対象とはしていない。従い、別紙物件目録記載の土地の滋養供給機能に関する調査や審査は、被告らも県もいずれも全く行っていないことになる。
 環境影響評価法の対象事業とすべきではないか。これを怠ったことは環境基本法にも違反する。
 なお、原告らの度重なる懸念に対し、被告らは県の許可が下りた後、県の検査とは別に排水検査をすることを言い訳としているが、これは公害対策の観点での水質汚濁防止のための基準であり、本来、別紙物件目録記載の土地が有していた滋養供給機能の存在や、本件事業による影響を確認できる内容ではない。

(4)地元坂田の状況について
 被告らは、定例記者会見などで、地元(事業地坂田のみを考慮)の住民の意向を尊重する考えを示したが、有力地権者のみの意向を尊重し、以下の通り偏る判断を下したと言わざるを得ない。
 坂田では、服部回漕店が事前に地権者に根回しした上で平成23年3月25日、服部回漕店が本件事業に関する説明会を行い、坂田区民(以下「区民」という)40名が出席した。ここでは、必要な地権者の同意を得ているので反対しても仕方がないという雰囲気で反対の声は封じこめられた(甲第39号証)。これを受け、事業に反対していた坂田区長も、6月25日に服部回漕店との協定書を締結したが、協定書はその後、地権者や本件事業関係者を含む坂田役員(以下「役員」という)から部外秘扱いとされ区民へも配布されなかった。説明会や協定書締結についてその内容を知らない区民も多く、再度の説明会の要望も出されたものの、役員に計画変更の説明があったのみで、その後、区民が直接服部回漕店から説明を聞く機会は役員によって拒否された。
 坂田では、役員らの圧力により本件事業への反対を表明することが憚れる雰囲気となる中で、絶対に情報が洩れないことを条件に反対署名が集められた。署名が61筆に達した時点で、被告館山市長金丸謙一は「地区住民の半分以上もしている」「反対は3分の1というが、どちらかと言えば少ない方」などと発言して本件事業を容認する姿勢を示した(甲第49号証)。この被告館山市長金丸謙一の発言に反発し、坂田での反対署名が更に集まり最終的に124筆に達し協定書の無効も県に要望していたが、被告らは賛成者の数を把握した訳でもないにも関わらず協定書の存在をもって「地元は賛成している」と強弁し続けた(坂田で本件事業に反対する経緯は甲第41号証)。
 さらに役員らは、坂田区内のみならず、西岬地区での説明会開催も妨害する行動をしている(甲第42号証)。住民の生活を守る立場にある役員のこうした行動は理解しがたい。

(5)事業者の説明回避体質と杜撰な事業計画について
 原告含め周辺住民が本件事業に関して不安を募らせているのは、上述のように事業者である服部回漕店が住民への説明会をことごとく逃げ回っているからである。区長会以外の団体からの説明会の要望も無視されたままである。
 本件許可申請において、事業の目的は農園造成とし、一部地元住民は観光で雇用が増えるから、と納得させられているが、具体的な計画は「具体案は工事期間中に検討」とされている(甲第39号証)。計画に示されるような急斜面で採算の取れる観光農園が本当に建設され維持していけるのかどうか、競争力のあるみかん園ができるのか、販売計画は?雇用計画は?運ばれるのはみかん園に適した土なのか?農薬や肥料で土壌や別紙物件目録記載の土地の下流、ひいては海が汚されることはないのか?いずれも何の説明もなく、甚だいい加減な話であり、農園造成を隠れ蓑にしているのでは、と疑わざるを得ない。なお、服部回漕店は服部グループの一企業であるが、同企業グループが施行している館山市大井の残土処分場や、館山市上真倉の残土処分場においても、説明会で農園やみかん園を作ると言っていたが、実際には作っていない。
 また、服部回漕店は、ダンプ通行台数について、甲第39号証説明会議事録では1日100台程度としているが、この説明には疑義がある。本件許可の申請書において、土砂等の搬入量は104万立方米とされ、施工計画書では過積載対策として「10t車の土砂は6.3立方米を目安に管理する」とされているので、日曜以外の毎日、3年間走り続けたとしても搬入車両は1日176台と説明を大幅に上回る。これは、8時~17時までの間、3分毎に1台、往復では1分半に1台となり、非常に杜撰かつ危険な計画である。
 さらに、申請した搬入計画のうち、60万立米の残土の発生場所が架空のものであり、それが発覚し新聞報道がなされた後に、服部回漕店は残土の発生場所を変更した。
 なお、服部回漕店は違法な行為は一切しない、と言いながら、既に開始された処分場への進入道路の工事中、法定外公共物である別紙物件目録記載の土地の下流部分に、伐採した大量の竹木くずを投棄し、被告館山市から注意を受けている。
 また、工事中に同下流部分に大きな石をいくつか落とし、被告館山市から撤去を約束させられ、今後は落とすことがないよう注意を受けている。いずれも、館山市法定外公共物管理条例第3条に違反する行為であり、住民が被告らに通報した事により発覚した。
 過去においても、同企業グループは、1994年6月29日に館山沖に、残土を海洋不法投棄し逮捕者を出したと毎日新聞で報じられている。
 これらを勘案すると、信頼できる業者かと疑念を感ずるが、このような業者の利益の為に、行政財産の用途廃止を行い、随意契約で売却をするのは、著しく不当な事である。

5 結論
 以上のとおりであるから、請求の趣旨記載の判決を求める。


第3 添付証拠書類

甲第1号証 館監第49号住民監査請求書及び監査結果(通知)
甲第2号証 館監第51号住民監査請求書及び監査結果(通知)
甲第3号証 館監第56号住民監査請求書及び監査結果(通知)
甲第4号証 館監第55号抗議文について(回答)
甲第5号証 館山市、西岬地区地図
甲第6号証 千葉県残土条例パンフレット「土地の埋立てなどの規制が変わりました」
甲第7号証 館山市普通財産売払事務取扱要綱
甲第8号証 林地開発許可申請書
甲第9号証 特定事業許可申請書
甲第10号証 平成23年7月25日 林地開発行為に関する意見書
甲第11号証 館環第135号 特定事業許可申請について(回答)
甲第12号証 館環第152号 特定事業許可申請について(回答)
甲第13号証 館環第199号 特定事業許可申請に係る公共用財産の取扱いについて(回答)
甲第14号証 公共用財産用途廃止申請書
甲第15号証 起案用紙(伺い)公共用財産用途廃止申請書の取り扱いについて
甲第16号証 起案用紙(伺い)公共用財産(法定外公共物)の用途廃止について
甲第17号証 土地売買契約書
甲第18号証 館山市情報提供 平成24年1月5日
甲第19号証 館環第138号 平成23年9月30日回答
甲第20号証 館環第149号 平成23年10月11日回答
甲第21号証 館環第150号 平成23年10月11日回答
甲第22号証 館建第57号 平成23年10月18日回答
甲第23号証 館建第58号 平成23年10月18日回答
甲第24号証 館建第62号 平成23年11月8日回答
甲第25号証 館環第182号 平成23年11月8日回答
甲第26号証 館環第190号 平成23年11月21日回答
甲第27号証 館建第67号 平成23年11月22日回答
甲第28号証 館環第206号 平成23年12月19日回答
甲第29号証 平成24年1月10日館山市長回答
甲第30号証 平成23年10月4日千葉県知事・千葉県議会議長あて陳情書 
甲第31号証 森第1048号 平成23年10月7日回答
甲第32号証 平成23年10月11日千葉県環境生活部廃棄物指導課残土対策室回答
甲第33号証 平成23年11月12日千葉県環境生活部廃棄物指導課残土対策室回答
甲第34号証 平成23年12月6日千葉県環境生活部廃棄物指導課残土対策室回答
甲第35号証 平成23年12月6日千葉県環境生活部廃棄物指導課残土対策室回答
甲第36号証 平成23年12月13日千葉県環境生活部廃棄物指導課残土対策室回答
甲第37号証 平成23年12月27日千葉県環境生活部廃棄物指導課残土対策室回答
甲第38号証 森第1320号 平成23年12月2日回答
甲第39号証 平成23年3月25日開催館山市坂田区説明会議事録
甲第40号証 平成23年10月13日坂田区民24名千葉県知事あて要請書
甲第41号証 平成23年12月20日館山市坂田青年団 要請書
甲第42号証 平成23年11月30日坂田区役員 西岬連合区長会あて
甲第43号証 坂田地区の土砂等の埋立て事業に関する説明会開催要請書やり取り
甲第44号証 平成24年3月10日服部回漕店回答(波左間区)
甲第45号証 「房大山と西岬の海」(平本紀久雄水産学博士論文)
甲第46号証 夏季海水浴場の設置及び管理等(館山市商工観光課データ)
甲第47号証 関財千統1第174号平成23年6月10日国有財産の売買契約の締結について
甲第48号証 補助金等交付決定通知書 館農第189号他
甲第49号証 平成23年11月10日新聞記事
甲第50号証 平成23年12月22日普通財産払下申請書

その他口頭弁論等において適宜提出する。

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コメント

しばらくです

しばらく連絡がなくすいませんでした。
私の方が、年始以降、別件でばたばたしていましたので、連絡がとれずじまいになってしまいました。

本文の内容、新聞掲載とあわせて、了解をいたしました。

司法に訴えるのは、すべてのそれ以上のエネルギーを費やすものです。

どうか、公平な、私たちにも納得できる判断を期待したいところです。

余談ですが。
トライアスロン大会のタイミングに、今回のこの動きは、偶然だとは思いますが。
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むろあつみ

Author:むろあつみ
2010年に館山市に移住。
2017年館山市長選挙に挑戦。
2022年館山市議会議員(2期目)辞職

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